昨日、駒込の会に佐藤喜義さんがみえたので、久しぶりにお話をしました。
本当はタウンゼント・カウントについて、いくつかのトリックサンプルを見せる予定でしたが、気がつくとその時間はなくなっておりました。(^_^.)
そんな中で、佐藤総さんの 『カードマジック・デザインズ』 の話題もあったのですが、その場にmMLスタッフの佐藤君もいて、まあ… 3人の佐藤が入り乱れて、ややこしいこと、ややこしいこと。(^_^;)
で、それはさておき… その昔、佐藤(喜義)さんが、マジックを二川先生に習いに通っているときに、
「先生、カードマジックなんて、これだけ研究しつくされていたら、俺らが考えることはもうないんじゃないですかね?」
と質問したら、先生は楽しそうに例の口調でこういったそうです。
「いやあ~、まだまだ… いくらでも隙間があるんですよ!」
そう、正に「スキマ」なのです。本物のオリジナル (それまでに存在していない) といえるような、斬新な作品が生まれる可能性は、ほとんどありえないといってもいいのかもしれませんが、「マジックという表現手段における隙間」 であれば、そりゃあ、もう、驚くほどそこらへんにころがって(?)いるのです。
佐藤(総)さんの作品だって、要はその隙間 (良いスキマを見つけること自体もセンスです) を驚くほど緻密に埋めてゆく過程と、その成果こそが評価されるべきであって、基本となるアイデア自体が取り立てて新しいわけではありません。
厚川さんやポール・ハリスといったレベルになると、さすがにその発想やアイデア自体にも感心してしまいますが、そういった巨人の方々を本当にすごいと感じるのは、そういった部分にだけ留まっているわけでは(決して)ないことです。
ここ一週間ほどかけて、ハリスの新しい映像 (そのほとんどが彼自身の演技ではありませんが…) を8割くらい鑑賞しましたが、初めてみる作品の他に、『ラスベガス・リーパー』『カラー・スタナー』、単品で発売もされた 『バニシング・デック』『スクリュード・デック』 といった、彼の代表作と言ってもいい、懐かしの作品たちが、新たなキッカーを加えたり、贅肉をそぎ落としたり、演出自体を変えることなどにより、さらにシンプルでパワフルな形に改良されている様を見せつけられ、あらためて彼のすごさを認識しました。
会のあと飲みの席でも話したのですが、“奇術家であれば誰でも知っているはずの原理やトリック” で、普通の観客はもちろんのこと (といいながらも、ここが弱くなってしまう方が多いですよね(^_^;))、優れたマジシャンを (いろいろと良い意味で) うならせるというのは、本当に楽しいものです。
表現者たるマジシャンにとって、芸はもちろんですが、トリック自体の完成度も、一生をかけて高めていくものなのです。
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