少し前、1、2年生の学生15人ほどを相手に 『演じる』 ことをメインにしたワークショップのようなものをしてきました。
まがりなりにも一般の方の前でなにかを演じようとするならば、見てくれている相手と、最低限のコミュニケーションがとれなくてはいけません。
まずは挨拶でしょうし、自己紹介でしょうし、何よりもその場の空気を読まなくてはならない。
マジックを見せようとしているならばその意思を伝え、了解を得て、何か不思議なことが起こるまでの過程を分かりやすく説明しつつ演技を進行させ、予定していた反応を相手から引き出したうえで、それらをしっかりと受け止め、その場の空気をプラスにしたうえで共有する。
さらには、相手に見えていない部分で、かなり精神的にキツイ仕事を、ぬかりなく、きっちりと進めていかなくてはならない。
これ、実は想像する以上に難しい。
そして、多くの演者が想像する以上に、間違いなく出来てはいない。
こればかりは技法の練習や手順の練習をやみくもにしているだけではまったく意味がないのです。
この事実を自覚する、意識することが最初の一歩なんですが、言葉と現実は… そりゃあ、もう、いやんなるくらいギャップがあるものです。
現在第三期目が進行している フォーサイトマジックスクール では、プロの方も受講されておりますが、半年のプログラムで、この現実をしっかりと認識し、受け止めることを一番の目標としています。
それくらい現実は 難しい のです。
その現実がある程度理解できれば、対処の仕方はいくらでもあります。
まずは演目を短く、出来る技法、覚えられる手順、自分に合ったセリフ、シンプルな構成にする。
ある程度のプランができたら、まずは裏の仕事なしで、それ以外の部分、つまり本来観客から見えていることだけを実際にリハーサルしてみれば良い。
これって、当たり前のことなのに、実際には誰もやってはいない。
おかしいとは思いませんか?
これはなにも今回の学生に限ったことではないのですが、とにかくあらゆることが無謀過ぎ。
マジックということで、あえて一つ言えば、ネタのセレクションが無茶すぎる方がほとんど。 (゜o゜)
生まれて初めての運動会に参加する幼児が、トライアスロンには参加しないでしょう。
ま、現実にそんな幼稚園はないでしょうし、実際の競技では年齢制限があるので参加資格自体ないわけですが…
マジックの場合はそれがないがために、そんなあり得ないはずの現場を目にすることがある。 (゜゜)
まあ、命に別条はないからね。
しかし、あり得ないマジック の、意味が根本的に違う。 ^^;
逆にここの加減が分かっている人の演技は、余裕があり、安心感があるので、ちょっとしたネタでも名人に見えたりします。 (^^♪
要するに多くの自称マジシャンが、自分が幼児であることを自覚していなかったり、トライアスロンという競技の過酷さに気がついていないのです。
お友達の乳児のよた話を聞いて、なんとなく自分も出来そうだと思っていたりする。 (^_^;)
結局自分自身で考えることが重要なので、これ以上は対処法について具体的なことは書きませんが、人前で演じることのスキルアップを目指す方は、もう一度 (正確には百回でも千回でも) 優先順位を十分に考えた上で作戦を練リ直すだけで、相手の反応が良くなるはず。
う~ん、長くなっちゃいました。
いやね、ワークショップ自体は楽しかったんですよ。
この話は講習をやっていたり、他のマジシャンの演技を見たり、自分の映像を見ていても常に感じていることの一部をつづっただけのことです。
次回は少しトリックの方の話をしましょうかね。
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