一応

先日ある奇術家と話しをしたのですが、先月の 『ともの会EX』 での私の発言内容に関して、どうも勘違いしている人が多いようだとのご指摘をいただきました。

その方を含めて、おそらく古いメンバーの方は大丈夫 (言わんとしていることは伝わっているだろうということ。本来当たり前のことなので、それまでは言葉や文字にしていなかっただけなので) であろうと思うのですが、ここ一、二年くらいの間に新しい参加者も増えてきて、会の基本姿勢自体を理解されていない方も多いので、その部分も含め、もう一度説明しておきたいと思います。

まずちょっと斬新?だったのは、 《ゆうきの前で下手な (うまくない) マジックをやると怒るんですね》 といった解釈。んー……確かに下手なマジックを見せられることは苦痛ではありますが、そんなことで腹を立てていたら、そもそもこんな会自体が成り立ちません。 という訳でこれはあきらかな誤解です。 私が問題にしているのは演者が自分の力や、ポジションを把握していないことと、その結果無茶 (めちゃくちゃ) な事をしてしまっていること、さらにはそのことが原因で起こっているマイナス面に当人は気がついていないことなのです。 また、残念なことにそういうタイプの人間に限って自信を持っている場合が多く、すでにマジックを教えている立場であったりします。よってアドバイスも難しいのです。

続いて、これはちょっと予想できたのですが、 《人の演技やトリックをコピーするとマズイらしい》 という解釈。 これは無論NGです……が、実際にはどこからがコピーで、どこまでがOKなのかという基準は難しいのです。 よって、よほどのこと (もの凄く露骨であるとか) がない限り、ことさら言及することはありません。 おそらく問題なのは、そのような行為に対して “まったく問題意識を持っていない人間が増えている” ということでしょう。 まあこの点は有名なマジシャンや関係者でさえも実際多いですから、仕方のない部分でもあるのですが……。

※もしこのスペースを覗いているあなたが、本当にコピーの問題に対して何の疑問も持っていないのだとしたら、直接ゆうきにコンタクトすることだけはご遠慮願います。

上記の問題はこれ以上掘り下げると大変なことになりますので、ここではこれ以上触れませんが、私が会において言ったのは、 「自分のものではない【未発表 (その手法や手順が) のトリック】を、この会で演じるのはやめてください」 というだけのことです。 たまたま前回のときは、それが (露骨に) ゆうきのものだったので、参加者の中には 「ゆうきは自分のトリックを演じられると腹を立てるのか」 とか、 「ゆうきは自分のトリックしか演じないのか」 なんて解釈もあったようですが、これも基本的には間違い。 問題はそれが未発表であるということと、当事者がそのような行為に対して (多少なりとも) 罪悪感を持ってはいなかったということです。

私の目の届かないところで何をしようとも、基本的にはとやかく言うつもりはありません。ま、気がつかなければ言えませんし、仮に気がついても野放しにしておくしかないのが現状です。 結論から言えば、多くのマジックの会は、参加するとそのようなルール違反が目につき過ぎるキライがあるため、なるべく進んでは参加しないようにしている訳です。 やっぱりいい感じはしませんもの。 要するにわざわざ “当人の目の前で” 未発表のトリックを演じることに、まったく疑問を感じない姿勢がマズイと言っているだけなのです。

さて 『ともの会EX』 ですが、参加者は観客役の方と、実際に5分以内で演技をしてもらう方との2種類に分かれます。 演技をする方も、演技前と演技後は観客になってもらいます。 当然演技をしない方はマジシャンである必要はありませんし、逆にその方が助かるのですが、演者に対するゆうきや庄司さんのコメント、アドバイス等を聞くはめになりますので、そこは覚悟しておいてください。

何度となくこのスペースでも繰り返してきたことですが、この会は 《自分の演技をより良くしたい》 (より正確には以前説明したように、良くない部分を少しずつカットするということなのですが) 人のための、カジュアルなワークショップです。 

後半時間があまれば、自由に演技してかまわない 《お試し》 コーナーもありますが、基本的には 《単に人前でやってみたい、褒められたい、パクリたい》 といった人向きではありません。 当然ながら充分な自信を持っている人に、わざわざ無駄になるアドバイスをする会でもありません。 問題意識を持っている方のための会であり、基本的には 《観客側にある程度見る体制が出来ている場合の演じ方》 を学べる会だと思っておいてください。 よって、それ以外の特殊な場合を想定する際は、事前にそれらの前提を、必ずお知らせください。 まったく同じトリックでも、誰が、いつ、どこで、どんな客層に、演じるかで、アドバイスの仕方も当然変わるのです。

以上古くからの参加者や、以前の告知を読まれている方には、同じことの繰り返しになりましたが、新年ということで 《一応》 書かせていただきました。

今年はもしかすると場所等変更があるかもしれませんが、今月はとりあえず予定通りに行います。いうまでもありませんが、上記の内容でかまわない方だけ参加してください。 それでは本年もよろしくお願いいたします。

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