さてここからの1時間は、前回から引き続き
「片倉雄一とその奇術」 と題したセッションです。
私がMC役を務めつつ、ふじいあきらさん、ヒロサカイさん、カズカタヤマさん、そして荒井晋一さんに、氏との思い出や作品について語ってもらいます。
マジック専門誌などに記録されている氏の作品は結構限られているのですが、氏の18番 「ダブルショック」 が解説された 「ニュージェネレーション+α」 の著者であるヒロさん、そして 「奪還」 をはじめ、めずらしく複数の氏の作品が掲載されている小冊子シリーズ 「トリックボックス」 の著者、カズさんには当時の貴重なお話を伺いました。
ヒロさんには実際にダブルショックを演じてもらいましたが、会場の中には初めて実際の演技を見た方もいたことでしょう。
ここで前回のゲストであった和田祐治さんの話が出たのですが、ヒロさん曰く
「和田君のダブルショックはホントにうまいよ! 彼の90パーセントは片倉雄一で出来ているからね… ちなみに俺の70パーセントは荒井晋一と片倉雄一でできてるけど (^^)」
そう、70年代後半から80年代にかけて、氏の立っているブースを訪れたマジシャンの多くは、氏の影響を大きく受けているのです。
さらには70年代に書かれた加藤英夫さんの名著、「カードマジック研究」、そして最近全10巻が刊行された 「カードマジック・ライブラリー」 から、「離ればなれの探偵カード」 をふじいさんが実演。
あっという間に30分が過ぎてしまいます。
本当は会場からの質問の時間なども盛り込みたかったのですが、今回は残りの30分、とっておきの貴重映像を荒井さんに用意してもらっていたのです!
今から28年前… 1985年(昭和60年)の夏、荒井さんの自宅で撮影された、二人だけの貴重なマジックセッションの模様です。
冒頭、元気な姿の片倉さんが、あのなつかしい飄々とした声で語りかけて来ます。
参加者の半分以上は、今回初めて動く氏の姿を見たという方々でしたが、氏をリアルに知るメンバーは、みんな胸に来るものがあったと思います。
お二人の繰り出すマジックのクオリティの高さに、会場からは驚きの声が上がっておりましたが、38歳で亡くなった氏の年齢をいつの間にか追い越してしまった、私をはじめとする年寄り組にいわせれば、
あの時代、あの年齢(当時氏は30歳)で、あの間の取り方… 実際の見せ方がトータルに完成されていたことに驚かされます。
荒井さんと片倉さんからのスペシャルな30分間のライブは、文字通り あっという間に 終了。
28年の時空を超えて、会場からは大きな拍手がわき起こっておりました。
コメント
コメント一覧 (2件)
そんな映像があったんですか……。
私も見たかったです。
私は確か、氏のレクチャーノートで「ダブルショック」を知ったように思います。すごく感心して、上京時に売場で実演していただいたのには感動しました。不朽の名作ですよね。
昨日のことのようです。
深いお付き合いはなかったのですが、一線のパフォーマー、クリエイターとして、憧れの存在だっただけに、ゆうきさんの文章を読んだだけでも、胸に迫るものがありました。
やっぱりいくらなんでも早過ぎますね、38歳は。
中西さん
レクチャーやショーを記録したものではなく、本当に二人だけのプライベートな映像です。
荒井さんと片倉さんに感謝。
片倉さんがお元気で活躍されていたら、クロースアップマジックの世界は、今とはまた違った状況になっていたかもしれませんね。