『マジックアワー』 観てきました。
三谷監督の前作 『有頂天ホテル』 のノリがお好きな方は楽しめると思います。
公開されたばかりの話題作ということで、結構混んでおり、それはそれで結構なことなのですが… 観客が増えると、普段めったに劇場で映画なんぞ見ない、マナーの悪い観客がいたりして閉口します。 (+_+)
それはさておき
チョイ役の豪華キャストが結構いい味だしてますし、なんといっても佐藤浩市の怪演(快演といってもいいかな)がすばらしい。 きっとファンが増えるんぢゃないかな?
荒唐無稽な話をいかに観客に心地よく受け入れさせるのか?
細かいディティールの根気強い積み重ねがこそが、良いフィクションを生み出すのだなあと。
という訳で、『奇術探究』 創刊号にて特集したプロット、「水漏れと油漏れ」 は、多くの愛好家の方に好意的な感想をいただき、さらには3名の方から各々の手順を送っていただきました。
創刊号でも触れている通り、3段、もしくは4段構成であるからこそ成立するプロットであるため、ある意味無数のバリエーションが存在することになります。
どなたの手順も改案ポイントが明確に書かれており、その部分はある程度クリアーになっていて、考え方としてお面白い部分や、参考になる部分がありました。
しかしながら、あのプロットはいわば長編小説であり 「手順のはじまりから終わりまで」 の全体像を俯瞰でみたときに、一か所でも無駄があると (正確にはあるように感じとられると) 、一挙に弱点をさらしだしてしまうような気がします。
創刊号ではオリジナルの紹介とそのアレンジ作品を、いわゆるカードの操作方法だけで解説 (それも大雑把に) してしまいましたが、現実に人前で演じるためには、プロットを自身がどのように理解するべきか、それを伝えるためには観客に何を話し、与える情報のなにを最優先すべきなのか?
本当はありとあらゆることを考えなければならないのです。
原稿や画像を送っていただいた方には、何らかの形でお返事させていただこうと思っておりますが、まじめに細かく返答しようとするとかなり大変です。
申し訳ありませんが、しばし(かなりかも?)お待ちください。
良いマジックアワーを構成するのには時間がかかるのです。
ちなみに8月発売予定の 『ワイズワークス7』 には、遺漏のバリエーション、7月発売予定の 『モダクラ劇場5』 にはタイニーオイルのバリエーション、そのうち発売予定の mML新シリーズ には4枚の赤と4枚の黒のみを使用した純水バージョン 『流水』 が収録されています。
私自身は5月以降8割がた 『流水』 を演じていますが、どのタイプも捨てがたい味があり、それぞれの作品を 『マジックアワー』 に近づけるべく研磨しているところです。
※ 上記3名とは別に、mMLスタッフである野島伸幸の手順を見ましたが、これはかなりキレイです。 今後、仮に奇術探究にて同じ特集を組んだ場合は、そのままのハンドリングで記録する価値があると思いました。
このプロットは長編ではありますが、決してわかりにくいものではありません。
しかしながら、野島が最初に覚えた手順を家人に見せたとき、ただ一言 「クドイ」 といわれたそうです。 念のために言っておきますが、3段、4段の手順を観客に飽きさせずに 「演じる」 ことは決して 「やさしい」 ことではないのです。 (^_^.)
あくまでも比較した場合ですが、例えば現象がトランスポジションの繰り返しの場合、一歩間違えると非常に複雑なものに見えます。
『リセット』 を分かり易く演じられる人が一体何人いることでしょう?
その点このプロットはサイレントでも成立するほどシンプルであり、だからこそ優れていると私は信じています。
よって、それらの成立するハンドリングこそがこれらの作品の最低条件だと考えているのです。
コメント